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第03章

CLI と自分の LLM で記帳する

これはファイルファーストな記帳の進め方です。自分の AI アシスタント (Claude、Cursor、Copilot、その他 MCP 対応エージェント)が Markdown / YAML ファイルを読み書きし、iris CLI がその結果をチェックして帳簿に関する問いに 答えます。ここに書くことはすべてオフラインで動きます。

全体イメージ

台帳をフォームに入力するのではありません。代わりに:

  1. あなたが元資料raw/ に置く。
  2. AI がそれを読み、仕訳をファイルとして提案する。
  3. iris が構造と計算を検証し、レポートを計算する。
  4. あなたがレビューし承認する(仕訳を posted に昇格)。

退屈な入力は AI が、決定論的な審判は iris が担い、何を記帳するかはあなたが 握ります。

最初の一度: AI をつなぐ

iris onboard

iris onboardiris mcp serveiris の各動詞をツールとして公開する小さな サーバー)を MCP 対応アシスタントに登録し、Claude Code スキルを書き込みます。 Claude Code には常に登録され、Claude Desktop・Codex・Cursor・Gemini CLI・ VS Code はインストールが検出された場合に登録されます。これにより、アシスタント は台帳の状態を推測せず、validatediffbalancereportstatus、そして サインイン後は sync を直接呼べます。

現在の接続状態は iris onboard --status でいつでも確認できます(AI 向けには --json を追加)。iris onboard の再実行は常に安全で、登録はその場で更新され ます。すべて元に戻すには iris offboard — 帳簿やサインインには触れずに、登録 とスキルを削除します。

この接続設定は、帳簿フォルダがあるマシンのためのものです。クラウド連携済みの 帳簿なら、そのマシンから離れた場所からも帳簿と対話できます — 外出先の AI から帳簿へ(リモートコネクタ) を参照してください。

どの帳簿にもルートに LLM-GUIDE.md が同梱されます。AI が作業前に読む完全な作業 契約書です。あなたが読む必要はありませんが、AI が規約(ファイル名、複式簿記の ルール、不確実な点をどこに記すか)を知っているのはこのおかげです。

サンドボックス内のアシスタントiris バイナリの無い VM など): 帳簿内に 同梱コピーはありません。モデルは「ホスト上の唯一の iris を MCP 経由で使う」 です。ホストが iris mcp serve を実行し、アシスタントは同じフォルダに対して 各動詞を MCP ツールとして呼び出します。

毎日のループ

1. 資料を raw/ に置く

銀行CSV、領収書スキャン、PDF 請求書を raw/ のどこかに置きます。日付別・取引先別の サブフォルダも自由です。AI はファイルの場所ではなく中身から種類を判別します。

2. AI に処理させる

アシスタントに「raw の新しい銀行明細を処理して」のように頼みます。LLM-GUIDE.md に従い、AI は次を行います。

  • ファイルを全文読み、notes/raw/<source>.mdパースキャッシュを書きます。 各行を journaledignoreddeferred で記録した恒久的な表です。あとで同じ 明細を開き直しても作業をやり直さずに済みます。
  • 実取引ごとに journals/<fy>/<mm>/…-NN.md を1件、status: draft で提案します。
  • 曖昧なものは推測せず notes/open-questions.md に記録します。

3. 検証する

iris validate

全ファイルをチェックします。YAML が解析でき、借方=貸方、科目が勘定科目表に存在し、 日付が整合し、ステータスが正当で、(日本の課税事業者向けには)税区分が整合して いるか。エラー — たいていは勘定科目表に無い科目か、貸借不一致 — を直して再実行 します。このループは AI に任せられます。

iris validate の末尾に「同期キューでブロックされたファイルがある」旨の注記が 出た場合、それはファイルの問題ではなくサーバー側の拒否です。 トラブルシューティング を参照。

4. レビューして帳簿を読む

iris balance                         # 本日時点の試算表(posted のみ)
iris report pl --from 2026-04-01 --to 2026-06-30
iris report bs --as-of 2026-06-30
iris search --payee amazon --from 2026-04-01     # 仕訳を検索
iris show raw/2026-05-invoice.pdf                # この資料を引用する仕訳

iris searchiris show は、ファイルに対する決定論的・オフラインのビューです。 フォルダを目視する代わりに、これらを使い(AI にも使わせ)ましょう。

5. posted へ昇格する

draft の仕訳(下書き)は、記帳するまでレポートや残高に載りません。納得 できたら昇格します。

iris post journals/2026/05/2026-05-04-example-com-01.md

iris post はファイルを検証(空でない・貸借一致)し、status: posted にし、 帳簿がクラウド連携済みなら同期します。--dry-run で変更せず確認できます。 status: フィールドを手で編集してもかまいません。post は貸借チェックと同期を 兼ねた便利コマンドです。

オンラインにする(クラウド)

ローカル帳簿をクラウドにリンクすると、Web アプリ・複数端末・共同作業・期間 年度の締め・恒久履歴が使えるようになります。上記のファイルファーストな 流れは変わらず、iris sync が増えるだけです。

iris api login            # ブラウザでサインイン。このデバイス専用の CLI セッションが発行される
iris api books new        # クラウド帳簿を作成…
# …または既存のものにこのフォルダをリンク:
iris api books link <book-id>
iris sync                 # 明示的な push + pull を1回

以後:

  • iris sync はローカルの変更を push し、新規分(例:税理士が Web アプリで追加した 仕訳)を pull します。ファイルごとに受理/拒否を報告します。
  • iris diff は同期前に「何が push されるか」を正確に表示します。
  • iris api history --path journals/2026/05/...md <book-id> はファイルの 訂正・削除の履歴を表示します。

同期は明示的なまま — 依頼したときだけ動き、裏では動きません。

固定資産と減価償却

償却資産がある場合は、各資産を assets/YYYY/<name>.md に記述します(取得価額・ 耐用年数・方法)。続いて:

iris asset schedule                       # 各資産の償却計画を見る
iris asset depreciate --month 2026-05     # その月の償却仕訳を生成

iris asset depreciate は提案仕訳(status: draft)を書き出すので、ほかの仕訳と 同様にレビューして posted にします。詳細と日本固有のルールは 日本の税務・コンプライアンス に。

エクスポート

iris export                 # journals.csv, trial-balance.csv, ledger-*.csv
iris export --year 2026     # 会計年度で絞り込み
iris export assets          # 資産別の償却スケジュール

CSV は Excel が日本語を正しく開けるよう UTF-8(BOM 付き)で書き出します。 クラウド連携済みの帳簿では iris api export audit <book-id> が監査人向けの 一式を作ります。

やってはいけないこと

次のルールが帳簿の信頼性を保ちます(AI もこれに従います)。

  • posted 仕訳を一括編集しない — 訂正仕訳を起こす。
  • compiled/ を手で編集しない — 再生成可能な出力。
  • 仕訳の中で科目を勝手に作らない — 先に勘定科目表へ追加する。

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