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マニュアル / 日本の税務・コンプライアンス
第07章

日本の税務・コンプライアンス

IrisBooks は日本の記帳のために作られています。このページは、日本の事業主・税理士 に必要なことを扱います。優良電子帳簿への適合、消費税の区分、固定資産の減価償却、 そして年度締めです。

IrisBooks の役割分担。 エンジンは普遍的で安定した部分 — 複式簿記の計算、 明細ごとの区分、集計、データ書き出し — を担います。年ごとに変わり、自治体ごとに 異なる書式そのものは、IrisBooks が出力したデータに対してあなたの AI が記入し、 突き合わせます。つまり「数値は IrisBooks が出し、書式は AI が埋め、IrisBooks が 整合を確認する」。これは意図的な設計です。

優良電子帳簿 — 3つの要件

まず前提から。青色申告特別控除の 65万円は、55万円控除の要件を満たしたうえで、 e-Tax による電子申告優良な電子帳簿の保存どちらかで受けられます。 つまり優良電子帳簿は必須ではなく、2つある経路の1つです。優良に固有のメリットは 過少申告加算税の 5% 軽減で、適用を受けるにはあらかじめ税務署への届出が必要です。

優良な電子帳簿には3つの能力が求められ、IrisBooks はそれに直接対応します。

要件意味IrisBooks では
訂正・削除の履歴の確保すべての訂正・削除の記録恒久的なサーバー履歴:iris api history、Web アプリのアクティビティタイムラインと仕訳ごとの履歴パネル
帳簿間の相互関連性の確保ある帳簿の記録事項が、関連する他の帳簿の記録事項と相互にたどれる(例:仕訳帳 ↔ 総勘定元帳)設計上、本質的に満たされます:元帳やレポートは仕訳からその都度導出され、元帳の各行は由来する仕訳ファイルを保持します(iris report ledger、Web アプリ勘定科目の元帳)
検索機能の確保日付・金額・取引先で検索(組み合わせ可)iris search、および Web アプリ仕訳ページの絞り込み

2つ目の要件は少し説明が要ります。IrisBooks はこれを機能ではなく構造で満たす からです。伝統的な簿記では仕訳帳から総勘定元帳へ転記するため、監査人が 両者を突き合わせられるよう、仕訳番号など共通の参照を両方の帳簿に記載して おく必要があります。IrisBooks に転記はありません。仕訳ファイルが唯一の原本で、 総勘定元帳・試算表・決算書はそこからその都度導出されます。元帳の各行は由来する 仕訳ファイルを保持しているので、帳簿間の関連性は本質的に保たれます — 写しを 作らないので、ずれようがないのです。

3つのうち2つ — 検索帳簿間のたどりiris searchiris report ledger)— はオフラインで動きます。3つ目の訂正・削除の履歴は監査人にとって 信頼できる必要があり、それを提供できるのはサーバー側の記録だけです。だから クラウド側の機能なのです。ローカルの git 履歴は監査人が信頼できる履歴では ありません

3要件とは別に、各仕訳は元資料(証憑)も参照します — iris show <path> と Web アプリ元資料ブラウザの引用元パネルが、このリンクを双方向にたどれます。 この仕訳↔証憑のつながりは、電子帳簿保存法が紙のスキャン書類(スキャナ保存の 重要書類)に求めるものであり、それ以前に監査の基本でもあります — どの仕訳 からも領収書へ、領収書からも仕訳へたどれます。

優良の適用範囲。 3つの能力は同時に満たされている必要があるため、 優良電子帳簿に該当するのは、クラウド同期している帳簿だけです。 ローカルのみの帳簿は対象外です — 検索と帳簿間のたどりは動きますが、 監査人が信頼できる訂正・削除の履歴がありません。また、優良の状態が保たれる のは帳簿がサービス上にある間だけです。帳簿を削除すると(30日間の 猶予の後、訂正履歴と締め済みアーカイブを含むサーバー上の全データが完全に 消去されます)、恒久的な履歴は失われ、その帳簿は優良に該当しなく なります。紙の帳簿と同じく、法定保存期間 (7年、法人の一部ケースでは最長10年)にわたって帳簿とその履歴を保存する法的 義務はあなた自身にあります。帳簿の削除の前に、保存すべきものを iris api export audit で書き出してください (監査人への引き渡しを参照)。

年度の締め(seal)は期間をロックします — 締め済み年度への書き込みは 再オープンするまで拒否され、再オープン中の編集にはすべてこの履歴の中で フラグが立ちます。年度締めを参照。

消費税

そもそも消費税を管理するかどうかは、事業者区分によります。config/book.yaml で 一度だけ宣言します。

consumption_tax:
  status: taxable          # taxable(課税事業者)| exempt(免税事業者)
  accounting: tax_included # tax_included(税込)| tax_excluded(税抜)
  method: general          # general(本則)| simplified(簡易課税)
  business_class: 5        # 1..6、簡易課税のみ
  • 免税事業者consumption_tax ブロック無し、または status: exempt)は、 税込金額を通常の売上 / 経費として記録し、税の内訳は持たず、消費税申告もしません。 この節の残りは読み飛ばして構いません。
  • 課税事業者は、年間を通じて関連する各明細tax ブロックで区分を付けます。 年度末に区分・税率ごとの合計が消費税申告書を駆動し、IrisBooks が集計した数値に 対して AI が書式を埋めます。

明細を区分する

消費税のかかる明細に tax ブロックを追加します。

lines:
  - account: 収益:売上
    credit: 100000
    tax:
      category: taxable_sale   # 課税売上
      rate: "10"               # 標準10%
  - account: 費用:消耗品費
    debit: 5000
    tax:
      category: taxable_purchase
      rate: "10"
      invoice: true            # 適格請求書を保有している

区分category):

トークン税区分税率を持つか
taxable_sale課税売上はい(正の率)
taxable_purchase課税仕入はい(正の率)
exempt_sale非課税売上なし
exempt_purchase非課税仕入なし
export_sale免税売上(輸出)0(または省略)
out_of_scope不課税 / 対象外なし
securities_sale有価証券譲渡なし

税率トークンrate): "10"(標準)、"8r"(軽減税率8%)、"8o"(旧/ 経過措置8%、8r とは別)、"5""3"(旧税率)、"0"(輸出)。

インボイスフラグinvoice): 仕入側の明細で、適格請求書等保存方式 (インボイス制度、2023年10月〜)のもとで適格請求書を保有しているかどうか。

簡易課税method: simplified): 各課税売上の明細には事業区分 (business_class、第1〜6種)が必要です。帳簿レベルの business_class を既定値と し、明細ごとに上書きできます。

iris validate はこれらの整合をチェックします — 区分が既知か、税率が区分に合うか (例:taxable_sale には正の率が必要、export_sale は0%)、簡易課税の売上に有効な 事業区分があるか。詳しい区分判定ルール(区分判定、簡易課税 事業区分、インボイス 経過措置)は税法であってプロダクトの仕様ではありません — AI が区分時に国税庁の 現行ページを確認します。AI 向けマニュアル(/llms-full.txt で配信)が一次資料の 出典つきで要約しています。変わりうるルールの凍結コピーを IrisBooks は同梱しません — iris は検証者であって、立法者ではありません。

年度末の集計

申告書に載せる合計は、誰かが明細を手で足し直すのではなく、エンジンが出します:

iris report sum --by tax.category,tax.rate --from 2026-01-01 --to 2026-12-31

posted の全明細を税区分ごとにグループ化して正確に合計します(インボイスの 区分けは tax.invoice を、簡易課税は tax.business_class を追加)。AI は この集計結果に当年度の様式計算を当てはめます — 役割分担はここでも同じ: IrisBooks が集計し、AI が申告する。 なお課税期間は個人は暦年、法人は 事業年度(--year)です。

固定資産と減価償却

各償却資産を assets/YYYY/<name>.md のファイルとして記述します。

---
name: "MacBook Pro 16"
acquisition_date: 2026-04-15
acquisition_cost: 480000
salvage_value: 1
useful_life_months: 48        # 耐用年数4年 × 12
method: straight_line         # straight_line | declining_balance | expensed
asset_account: "資産:工具器具備品"
depreciation_expense_account: "費用:減価償却費"
accumulated_depreciation_account: "資産:減価償却累計額"
---
  • useful_life_months は耐用年数省令の表から取ります。AI が国税庁の現行 ページ(耐用年数省令 別表第一・第二。定率法は別表第十の償却率)で正しい耐用 年数を調べ、確定した数値をファイルに記録します — 帳簿が自らの根拠を持ち、 「どの改定時点の表か」は ファイルの git 履歴が答えます。
  • 方法: straight_line(定額法)、declining_balance(定率法、declining_rate 付き)、expensed(即時償却)。

続いて償却を実行します。

iris asset schedule                    # 各資産の償却計画
iris asset depreciate --year 2026      # 年次: 年度合計の仕訳を期末日付で資産ごとに生成
iris asset depreciate --month 2026-05  # 月次: その月の仕訳を生成
iris export assets                     # 資産別スケジュールを CSV で

個人事業主や小規模法人の多くは、減価償却を年 1 回の決算整理仕訳として計上します — それが --year です。資産ごとに年度合計の提案仕訳を期末日付で書き出します (期中取得の月割も自動)。月次で締める帳簿は --month を使います。方式は会計 年度ごとにどちらか一方を選びます — 混在は二重計上になるためコマンドが拒否します。 いずれの場合も iris asset depreciate は提案仕訳を書き出すので、ほかの仕訳と 同様にレビューして posted にします。

既知の制限。 declining_balance は、帳簿価額が保証額を下回ったときの改定 償却率への二段階切替をまだ実装していません。その時点に達する資産については、AI が 切替を計算し訂正仕訳を記録します。申告時に驚かないよう明記しています。

申告書類そのもの — 固定資産台帳、償却資産税 申告書(市町村別)、別表16 — は、 AI が資産ファイルとエンジンの年度数値(iris export assets --year / iris asset schedule --year)、そして当年度の公式様式(国税庁または各市町村の 公表レイアウト)から作成し、帳簿の compiled/jp/<様式>/<年度>/ に書き出します。 様式は毎年変わるため、AI は凍結された手順書ではなく当年度の様式を取得して 作業します。

年度締め

年度締めには会計面とコンプライアンス面があります:

iris yearend 2025                                 # FY2026 の期首残高仕訳を作成
iris sync                                         # 仕訳を push
iris api seal --period 2025 --preview <book-id>   # 何が締められるか確認(クラウド)
iris api seal --period 2025 <book-id>             # 年度を締める(クラウド)
iris api archive download --year 2025 <book-id>   # 締め済みアーカイブ zip を取得
  • 繰越(iris yearend)。 期末残高から翌期の期首残高仕訳を作成し、 新年度が整合した自己完結の状態で始まります。オフラインで動作します — 帳簿の中の普通の仕訳です。 iris yearend を参照。
  • 締め。 会計年度を「誰が・いつ締めたか」とともに締め済みにマークし、 ロックします。締め済み年度への書き込みは、どの作業面(CLI・同期・Web アプリ・リモートコネクタ)でもすべて拒否されます。年度内の仕訳は closed として表示されます。
  • アーカイブ。 締め済み年度のスナップショット(zip と照会可能な SQLite)が サーバー側で作成され、ダウンロードや監査引き渡しに使えます。作業ツリーは一切 変更されません。年度のファイルはそのまま残ります。

締め済み年度を修正したいときは、再オープンして編集し、再同期してから再度 締めます。

iris reopen 2025      # 締めのロックを解除(年度のファイルは作業ツリーにそのまま)
# …訂正する…
iris sync             # push。サーバーはこれらを締め後の編集としてフラグ
iris yearend 2025     # 翌期の期首残高を更新(2026 がまだ開いている場合)
iris api seal --period 2025 <book-id>   # 年度を再度締める(古い締めを引き継ぐ)

翌期すでに締め済みの場合、iris yearend はその期首残高仕訳を申告済みの まま凍結し、その旨を報告します — 差額は当期の訂正仕訳(前期損益修正)として 計上するか、翌期も再オープンしてください。

締め / 再オープン / アーカイブのダウンロードは Web アプリからも行えます。 帳簿の年度の締め画面に全会計年度と締め状態が並び、同じ プレビュー → 締め → 再オープンの流れを操作できます — Web アプリを使うを参照。ローカルの帳簿へ仕訳を 書き込む繰越(iris yearend)だけは CLI 専用です。

監査人への引き渡し

監査人や税理士に自己完結したパッケージを渡すには:

iris api export audit <book-id>

会計年度ごとのスナップショット(照会可能な SQLite)、Excel で開ける CSV ビュー、 そしてイベントログ — 締め後の編集も含む訂正・削除の完全な履歴 — を一式に まとめます。

コンプライアンス簡易チェックリスト

  • config/book.yamlregion: JPentity_kindfiscal_start_month が 正しい。
  • 課税事業者なら:consumption_tax が設定され、明細が区分済みで、 iris validate がクリーン。
  • 固定資産が assets/ に正しい useful_life_months で記述されている。
  • (任意)優良な電子帳簿の適用を受けるなら:訂正・削除の履歴のため帳簿を クラウド同期し、税務署への届出を済ませている。保存期間中は帳簿をサービス 上に維持する — 帳簿の削除は優良の対象から外れます(やむを得ない場合は 先に iris api export audit を)。
  • 年度末:締め、アーカイブのダウンロード、(引き渡し用に) iris api export audit

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